2007.04.01 執筆コラム コーポレート・コミュニケーション 国際シンポジウム(1966-2004)(八巻俊雄著、プラトー出版)

公益社団法人 日本マーケティング協会発行 『MARKETING HORIZON』2007年4号掲載

本書は長年広告に携わってきた八巻俊雄氏の全仕事を編纂したなかの3巻目にあたるものである。書籍タイトルにあるように1966年からのシンポジウム録が納められている。

表紙や書籍の作り方はお堅い印象を醸し出しているが、シンポジウムの記録であるため、登場するパネリストたちの語りで読み進むことができる。装丁から受ける印象よりもずっと気軽に接することができる構成となっている。

八巻氏の仕事を通して、改めて’66年からの広告(タイトルにはコーポレート・コミュニケーションとあるが、企業広告のみでなくブランド広告やPRも含まれている)の歴史を振り返ると、古さを感じないことに驚くだろう。むろん、インターネットを代表する情報環境の大きな変化はある。が、広告の意義や使命、またそれに取り組んでいる企業や担当者の意識そのものは現在も脈々と生きていることを実感するのだ。

歴史を知る意義は未来を知る手掛かりを得ることである。ここに紹介されている事例そのものは過去のものである。しかし、30年以上前に議論された「経営者が考えるマーケティング」のシンポジウムの内容や、20年前時点における「人口構成の変化が市場を変える」という読みにより生まれたマーケティング戦略の骨子から得られるヒントは多い。さらに国際シンポジウムの記録であるため、先進国やアジア諸国の広告の変遷をトレースしていく面白さも味わえる。読者がリアルタイムで著者と同時代を生きていなくても、本書によって「知っていること」「聞いたことがあること」の裏側を、当時の人々の言葉で読むことができるのは貴重である。

折しも今年は日本マーケティング協会発足50周年の年である。本書を開いて、ふと足下を見つめるには絶好のタイミングだろう。