2010.06.01 執筆コラム ヴィーナスフォート ペットシティPECOS

公益社団法人 日本マーケティング協会発行 『MARKETING HORIZON』2010年6号掲載

お台場のヴィーナスフォートが’99年開業から10年余を経て、森ビルの子会社となったのを機に新しい顔をつくりつつある。昨年末には、初の都会立地の「ヴィーナス・アウトレット」がオープンして話題になった。国内外からの観光吸引力の高いお台場・ヴィーナスフォートには、相性ぴったりの業態であり、これまで足が遠のいていた層にも出かけるきっかけをつくった。

そして3月、日本最先端のペットショップとしてリニューアルオープンしたのが「PECOS」である。

ペットのいる世帯が全体の4割を超えている現在、ペットはいまや家族の一員と言うより家族そのものだ。いたれりつくせりのペット用ビューティサロンや、ベビー向け以上におしゃれなペット専門ブティックも商業施設の必須アイテムとして増えてきたが、およそ300坪のPECOSはその規模だけでなく、ペットに関する総合ショップ&サロンとして多彩なメニューに特徴がある。

まずはペットそのものの販売。いろいろと物議はあるもののマイクロチップ装着により飼い主に安心感を与えているワンちゃん・ネコちゃんは、ロードサイドのホームセンター型ペットショップより高額だが、いや、だからこそ美人度が高い印象。もちろんお洋服やおもちゃの類もオシャレで、もはやペットフードの域を超えている色鮮やかなスイーツ類やビューティ&サニタリーの品揃えも時間がいくらあっても足りないほどの充実ぶりで、完全に赤ちゃん向け量販店の上をいっている。

毛並みを美しく整えるトリミングサロンやカルチャーセンターばりのしつけ教室、いつ何時お世話になるかわからない動物病院。ペットとの生活を考えれば自ずと必要になるあれこれがワンストップでかなうのは大変有り難いだろう。

また異業種コラボとしては「ペットと一緒に暮らす家づくり」の提案を積水ハウスと行っている。人にとって暮らしやすいだけでなく、犬や猫にとっての住み心地の良さを反映した住まいづくりをプレゼンテーションしている。ペットにとって滑りにくくて歩きやすい床材や、ハウスinハウスともいえるおうちの中のペット専用スペース。かゆいところに手が届くとはこういうこと、というアイデアが多数あり、家にペットがいない人でも見ているだけ十分に楽しめる。

お台場エリアの中でも女性色が強いヴィーナスフォートの中でのペット特化はやや異色の存在に感じるかもしれない。が、お台場や豊洲をはじめ他の商業施設もそうであるように、ベビーカー率と同様にペット同伴率も高い。当然、同伴の際のマナーやルールの遵守を促す案内はあちこちに見られるが、いまや無視できない立派なお客さまなのである。

若い女性同士やデートで訪れている人たち、近隣住民と銀聯カードホルダーたち、ベビーカーとペットキャリー。人々が成す風景にトーキョーの今を実感できる場所である。

※PECOSはペットシティ(株)の運営による次世代型ペットショップです。